【教育文化・家の光プランナー】地域のつながりは協同活動の実践から西尾嘉文 JA京都やましろ 総合企画部ふれあい課 課長
西尾嘉文 JA京都やましろ 総合企画部ふれあい課 課長
にしお・よしふみ/平成12年にJA京都やましろ入組。組合員相談課やふれあい課など総合企画部を中心に支店信用共済課などの部署を経験。くらしの活動を長く担当し、現職として、組合員のアクティブメンバーシップの強化に力を入れている。
JA京都やましろは、地域住民との関係性を構築するためにくらしの活動に力を入れている。令和4年度「教育文化・家の光プランナー専修講座」(オンライン開催)で実践報告をする西尾課長に、メンバーシップの強化や協同活動の原点、魅力について聞いた。
食農体験の活動で地域の縁ができる
――JA職員としてこれまで組合員と接するなかで印象に残っていることを教えてください。
私は今年で入組して23年目です。本店勤務が長かったのですが、本店で主催する、さまざまなJAくらしの活動を通じて、組合員との接点をつくることができました。
なかでも、食農体験を定期的におこなう、「ちゃぐりんスクール」では、私も子どもたちと田植えや野菜作り、料理教室をして交流する機会がありました。
心がけてきたのは、私自身も同年代の子を持つ親として、保護者とできるだけコミュニケーションをとること。職員も同じ地域に暮らす一人として共感できることも多くあり、身近な食や農をテーマに話が盛り上がることが、JAが主催するイベントの魅力ではないかと感じています。くらしの活動での地域の人との縁が財産になっています。
――仕事を通じて、JAの強みを感じられたできごと、励みになったことを教えてください。
渉外担当者のとき、月2回ほどの定例訪問先の組合員を1年ほど担当したころに、「共済の相談をしたい人がいるから」と知り合いの方を紹介していただき、契約に伺ったことがありました。知人を紹介していただくのは、JAや担当者を信頼していただいているからこそで、たいへん励みになりました。
同様に、くらしの活動においてもリピーターとして参加いただける人や知り合いを誘って参加していただいたときはうれしいですね。
実施後に、できるだけアンケートを取るようにしていますが、厳しいご意見をいただくこともあり、反省し次回に生かせるように心がけています。組合員は、JAが実施する協同活動として手作り感いっぱいの活動に理解いただいている人も多いですが、員外世帯の地域の参加者からすれば、費用を負担して参加する以上、プロとしての対応(スムーズな進行や手厚い対応)を求められていることを痛感することもあります。
地域住民がJAに求める活動に食農体験などがあります。そのさいに女性部・青壮年部や地域の農家の協力が得られることはたいへんありがたく思いますし、逆に協力なしにはできない活動も多々あります。
さまざまな人のつながりがあって、活動ができること――。これがJAの強みであることを実感しています。
気に入った記事の“おすそわけ”
――現在、ふれあい課長として、くらしの活動を進める中核の立場です。教育文化活動を、JAではどのように位置付けていますか。
組合員、地域農業者が高齢化し、担い手の不足など農業生産基盤が弱体化するなか、地域振興はもとより、地域農業の持続的発展やJAの組織基盤強化に向けて、非農家組合員、地域住民を農業の応援団として関係性を構築することが極めて重要だと考えます。しかしながら、JAとのつながりが希薄な地域住民の結集は容易ではないことから、地域の生活・文化に即したターゲット層に訴求する教育文化活動が必要不可欠です。
地域協同組合として、教育文化活動を通じたよりよい暮らしのお手伝いをするための役割発揮こそがJAの存在意義ともいえると思います。
加えて、協同組合の活動として重要視する必要があるのは、参加者=お客さんではなく、参加・参画する組合員を主人公として、主体性を持って活動してもらうことで、いかに満足度を高めていくかということだと思います。
――『家の光』を活用して、好評だった取り組みやその魅力を教えてください。
『家の光』のもっともシンプルで効果的な活用が、人への記事紹介だと思います。読書会や読み合わせ会などをしているJAも多いと思いますが、当JAでも普及の一環として全役職員の購読に取り組み、各支店・部署で朝礼の時間等を利用して記事紹介をしています。
恥ずかしながら、私を含め当JA職員でも『家の光』を購読しているもののあまり記事を読んでいないのが実態でした。人に記事を紹介するためには、まず自らが読む必要があるという観点を中心に始めました。その効果は、紹介を受けた側が、紹介されなければけっして出合うことのなかった記事を読むことができる、そして紹介した側も自分が興味を持った記事を他者が共感することで満足度が得られるということでした。興味をもつ記事は人それぞれ違いますので、JA女性部の人にも積極的に自分が気に入った記事を人に「おすそわけ」するよう勧めています。
また、女性部でも『家の光』を活動の教科書として位置付け、普及と活用を並行して進めています。購読していただいている以上、活用を促すことは必須でもあり、記事活用を取り入れることは、女性部のメンバーシップ意識の向上にもつながっていると思います。
口コミの力を存分に発揮したい
――教育文化・家の光プランナーとして、課題としていること、また、心がけていることなどを教えてください。
プランナーとしては、2年目で経験は浅いですが、教育文化活動に携わるうえで、家の光普及における新規購読者や女性部活動における新規部員加入など新規獲得に取り組むさいに既存の購読者や部員が満足されているかに立ち返るよう心がけています。既存の方の満足なくして新規の方の定着は得られないと考えるからです。家の光購読者にいかにしてページを開いてもらうか、女性部員にいかに活動に参加してもらうかを課題として、力を入れて取り組んでいます。
また、既存の方の満足は、口コミによる広がりも期待できると思います。自分の身近な人と手をつなぐことこそが協同組合運動の原点ですから。
地域住民の新たな参加・参画を得るのは容易ではありません。PRすること自体、そのツール探しに頭を悩ませるほどです。だからこそ口コミの力を頼りたいと思っています。希薄になりつつあるとはいえ、地域でのつながりはまだまだ力があります。その力を協同活動に生かし、協同活動を通じて地域のつながりをさらに強めることが必要だと思います。
新たな活動に取り組むにあたっては、十分な下準備は重要ですが、実際にスタートするときには、「とにかくやってみよう」の精神を大切にしています。物事の成功は「トライアンドエラーの積み重ね」と開き直るようにして、これからもチャレンジしていきたいと思います。
教育文化・家の光プランナーの方へのお知らせ
現役プランナーの方々を対象に、「令和4年度『教育文化・家の光プランナー』専修講座」を2022年7月19日(火)~9月30日(金)の期間でオンライン配信します。西尾嘉文さんも実践報告者として、具体的な教育文化活動の取り組みや進め方についてお話いただきます。ぜひ、ご参加ください。
参加申し込みはこちらから公開日:2022/07/01 記事ジャンル:教育文化・家の光プランナー 配信月:2022年7月配信 タグ:「家の光三誌」等の活用 / あぐりスクール・ちゃぐりんフェスタ / くらしの活動 / 教育文化・家の光プランナー / 教育文化活動の体制整備