【教育文化・家の光プランナー】コロナ禍でも歩みを止めないために安留 孝 JAあいら 総務部くらし広報課 課長

安留 孝 JAあいら 総務部くらし広報課 課長

安留課長の写真

やすどめ・たかし/1993年JAあいら入組。25年間にわたり営農部門に従事、果樹部会事務局や野菜部会事務局、JA青壮年部事務局などを歴任。2019年より現職。広報やJA女性部事務局、JA販促隊事務局、JA青壮年部事務局を務める。

今年10月に開催された第12回全国和牛能力共進会(鹿児島全共)。地元開催となったJAあいらでは、JA女性部と畜産農家の女性グループが連携して、全共関係者に「おもてなし汁」を振る舞いました。全共での連携の取り組みや、食と農のたいせつさを発信するアイデア・工夫について、くらし広報課の安留課長に聞きました。

表彰 写真入る
JAあいら管内は第4区繁殖雌牛群で内閣総理大臣賞(名誉賞)を受賞。鹿児島県が内閣総理大臣賞を受賞したのは30年ぶり

ビッグイベントに温かなおもてなし

――全共の種牛の部の4区で、管内の姶良和牛育種組合の3頭がみごと名誉賞に輝きました、誠におめでとうございます。

ありがとうございます。JAでは、「鹿児島黒牛」「あいら牛」のブランド化など、畜産振興に力を入れています。5年に1度開催される、和牛オリンピックと称されるビッグイベントに、地元JAとして携わることができてうれしく思います。

今回のおもてなし汁の提供の取り組みは、畜産農家の女性グループ「姶♡LOVE和牛女子」から、JA女性部で調理を担当してほしいとの依頼があったことがきっかけです。県外の出品者などの全共関係者のお昼は弁当のため、地元の食材を使った温かな「豚汁」「さつま汁」「茶ぶし」の汁物を日替わりで出そうと話し合いました。1日1000食、3日合計で3000食を無料提供しましたが、とくに寒い日もあって、「地元のおいしい食材を使った温かい汁物がありがたい」「心も温まりました」という声を多くいただき、とても喜ばれました。

女性部が調理し、「姶♡LOVE和牛女子」が提供するという役割分担で、JA女性部と地域の女性グループとのみごとな連携ができたことを誇りに思っています。くらし広報課は女性部の事務局でもありますが、女性部員と事務局との話し合いによって、SDGsに取り組むこととなりました。汁物の容器をプラスチックではなく紙の容器で提供することとし、環境配慮の意識づけにもつながりました。

調理 写真入る
JA女性部のメンバーが手際よく調理

――安留課長は、長年、営農部門に従事されていました。今回の連携は、その経験が生かされたのではないでしょうか。

「姶♡LOVE和牛女子」の方も、それぞれ忙しいなか計30人以上が参加しました。これまでの経験から農家経営のたいへんさを痛感しており、農家女性の農業振興への思いや行動力になんとか応えたいという気持ちがありました。おもてなしの心を届けるには、女性組織によるパワーは必要不可欠だと強く感じます。

おもてなし汁 写真入る
全共では協同の力で、温かい汁物を3日間で3000食提供した

――これまでの仕事のなかで、JA職員としての励みになったことや、「協同の力」を感じたエピソードを教えてください。

JA共販で取り扱いがなかったブトウとナシを、3年かけてJA共販体制に結びつけたことです。観光農園を営む人をはじめ、生産者による品質を高める努力を続けることによって、部会の組織化につながり、地域を守り立てることにもなりました。また、販売面では、Aコープ担当者にも協力してもらい、軌道に乗った時の感動は今でも忘れられません。

ピンチをチャンスに変える

――JAでは、コロナ禍においても精力的に教育文化活動を展開されています。なかでも「ちゃぐりんスクール」では、通信教育の導入をとおして活動を継続し、好評を博しています。

コロナ禍でもできることがないか――。事務局メンバーで検討した結論が、通信教育への切り替えでした。印象に残っているのは、職員からの提案で、調理室と会場を中継し郷土菓子の「ふくれ菓子」ができあがるまでの様子を配信したことです。子どもたちだけでなく、保護者からもとても好評でした。事務局メンバーで話し合い、アイデア・工夫を出し合えば、なんとかなるという思いを強くしました。

カリキュラムを組むときは、つねに「自分たちも楽しめるか」をみんなで考えます。他の部署や団体とも広報誌の取材も兼ねて定期的にコミュニケーションを取っており、そうした会話の中からも新しいアイデアが生まれてきます。

今後は、コロナ禍以前のように、試食などが簡単にできるよう、開催形式を検討しています。また、以前も同様に取り組んでいた、販売体験を再開したいと考えています。「食べる」だけでなく、「食」を支える根本である農業に関する知識・体験も含んだ「食農教育」の大切さを伝える取り組みを強化していきます。

中継写真 入る
スマートフォンのビデオ通話機能を用いて中継した

――教育文化・家の光プランナーとして、課題としていることや心がけていることを教えてください。

教育広報・教育文化活動の取り組みは、JAと組合員、地域住民とを結ぶ取り組みです。だからこそ、さまざまな人の意見に耳を傾けることが必要だと考えています。

例えば、「ちゃぐりんスクール」では開催日ごとに必ず、アンケートを記入する時間を設定しています。子どもたちや保護者、スタッフともに、どんなに小さなことでも改善点・良い点、気づいたことを記入してもらい、できること、できないことを見極めながら、すぐにできることなら、次の回には改善していきます。

このように、一人一人の意見を大切にしながら、グループや組織の活動を充実させていきたいと思います。JA教育文化活動を前進させることは、きっと地域の活性化にもつながっていくと考えます。

また、くらし広報課は広報の担当部署でもあります。どのようにJA全体を組合員や地域住民に発信していくか――。『家の光』や『ちゃぐりん』に掲載された他のJAの取り組みからヒントを見つけ、アレンジを加えながら取り組んでいます。

制限されることの多いコロナ禍ですが、意外なところにアイデアやヒントがあります。ピンチをチャンスに変えていきましょう!

2022年9月開催の第17回「あぐりスクール全国サミット」では、安留課長に実践報告をいただきました。「開催報告」内に公開しておりますので、こちらからご覧ください。

第17回「あぐりスクール全国サミット」
開催報告はこちらから

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